オマジナイ
土曜日の昼。 オレと和葉は差し向かいで昼飯を食っとった。 オカンが出かけてしもたから、和葉がオレん家に飯をつくりにきてくれて、ほんで2人で食うてるわけや。 ま、いつものことやな。 けど、和葉のやつ、なーんかおかしいんやなー。 いつもはペラペラようしゃべりながら飯もパクパク食うのに、今日はあんまりしゃべらへんし、飯食うのも恐る恐るいう感じで。
飯を食い終わって、オレは一足先に部屋へ戻った。 数分後、台所を片して飲み物を乗せた盆を持った和葉が部屋に来た。 和葉が座って盆を置いたタイミングで切り出してみる。 「和葉、お前、口ん中どないしたんや?」 和葉は案の定、え? という顔をして、少しほっぺたを膨らませた。 「実はな、口内炎ができてしもてん」 やっぱな。 「口内炎? どんくさいやっちゃなー。いつからや?」 「んー、気づいたらなっとった。……って、口内炎にどんくさいって関係ないやん!」 わはは、すぐにそこにいかんところがどんくさいっちゅうんじゃ。 ふと、オレの中にイタズラ心がもたげた。 「いやー、しかし、痛いやろ? 可哀想やなー。……早よ治るおまじないしたろか?」 「平次がオマジナイぃ? ……何か不気味やなぁ」 不気味てなんじゃい。 和葉は怪訝そうな顔をしながらも、ベッドに座っているオレのそばにやってきた。 和葉は立ってるから、オレを上から覗き込んできたところで和葉の頭を捕らえて…… 「ん……っ」 思いっきり、ベロチューかましたった。 ん、これか? 和葉の右側の口ん中。ぽっこりふくらんでるところがある。 そこにベロを当てて、痛ないか和葉の顔をチェックしてみると思いっきり、顔を紅潮させとる……眉毛なんか、ハの字型になっとんやん。 お前、その顔はアカンやろ……。 スイッチの入ってもーたオレは、和葉の体を引っ張った。 ベッドに倒れこむ寸前に体を入れ替えて、和葉を押し倒す。 ぽすん、とスプリングの勢いで、2人の唇が離れた。 「や……平次のアホっ! おまじないやて言うたやん〜〜〜」 「おまじないやん? 小さい頃オカンによう言われたやろ、『ケガしてもなめときゃ治る』て」 「オバチャンのおまじないは、『痛いの痛いの遠いお山に飛んでいけ〜』やったもん!」 あのオバハン……実の息子には「なめとけ」言うてほったらかしやったくせに、和葉にはそんな甘いこと言うとったんかい! 実の母親に一瞬思いを馳せてふと和葉から視線を外せば、露になっている白い腿。 ……こんなええもん目の前にしといて、あんな鬼母のこと考えんでもええか。 「どっちにしても気の持ちようや。オレがたっぷりなめたるから、こんなんすぐに治るて」 右手を腿に這わせながら和葉に顔を近づけるオレ。 「やぁっ、平次、もうっ! こんな昼間っから嫌やって」 「昼間やから嫌? ……何を期待してんのかなぁ、カズハチャンは?」 わざと唇を外して首筋をなめ上げると、和葉の体がビクリと反応した。 その一瞬の隙をついて、再び和葉の口内に舌を突っ込む。 「や……あんっ……アカンて、平次ぃ……」 やからお前、そんな潤んだ声で言うたって逆効果やって。 スマンけど、もう止められんからな。 恨むんやったら自分を恨んでやー。
□あとがき□ しょっぱなからこんなの載せちゃって大丈夫でしたでしょうか(汗)。 平和は糖度高めのものが多くなりそうです。 苦手な方がいらっしゃいましたらお知らせください。もう少し目につきにくいようにします←書くのをやめる気はないらしい(笑)。 |