隣の部屋では、容疑者3名の事情聴取が順に行われている。
 鈴子が大切にしていた人形を売ったと知って、可奈が声を上げた。
「おばさんからプレゼントされた人形は、何があっても売らないって言ってたのに……!」
「しっ」
 想は咄嗟に可奈の口をふさいだ。
 隠れているのがバレたら、話の続きが聞けなくなる。
 ――3人の話が食い違っていることが気に入らない
 思考に集中し始めたとき、胸の中で何かが動いた。
 見ると、可奈が「んーっんーっ」と暴れている。
「す、すみません」
 慌てて離すと、可奈は胸に手を当てて深呼吸を繰り返した。
「何すんのよっ。そんな大きな手で口ふさいだら、鼻まですっぽりだよ。殺す気!?」
「すみません」
 想は謝りながら、ついさっきまであった感触を思い出していた。
 超人的な運動神経からは想像できない、華奢で小さな体。
 「少女」を感じさせるような――


「お願い、燈馬君。鈴姉ちゃんを助けて!」

 事件に関わる気などなかった。
 けれど。
 ――この瞳に抗えない――

 想は、可奈の瞳を受け止めた。


□あとがき□
 ドラマ版は身長が違うので、当然、手も大きいんだろうな。
「しっ」のところは「自分の口に自分の指を当てる」のではなく、可奈ちゃんの口ふさいで欲しかったー!という妄想。
 そう言えば、「3人の話が違うのが気に入らないだけです」とニッコリ笑うシーンがなかったですね。
 話の流れからないのは理解できるのですが、でもやっぱり残念…。
 鈴姉ちゃん他3名は「容疑者」ではないんでしたっけ? 違ったらすみません;

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